22年前の話
- 2018.06.04 Monday
- 19:47
↑ 22年前のサルベーションアーミーのドミ ↑
(南京虫パラダイス)
1人の気弱な男性から聞いた話。
彼は大学を出た後、就職せず
ワーキングホリデーでカナダへ。
カナダから帰国後はインド、カルカッタを目指した。
ただでさえビビりな性格。
安全の為、インド初日の宿は空港側の良い目の宿をとった。
翌日からは勇気を出してお決まりのサダルストリートへ。
サルベーションアーミーに泊まりながら
毎日、マザーテレサの死を待つ人の家に通った。
マザーテレサのボランティアが終わればあとはフリータイム。
ぷらぷら外に出て歩いている時に
ストリート生活をしている家族と知り合う。
母親とまだ小さい息子ふたりの家族。
息子のうちのひとりは病気だった。
『治療しないの?』と聞くとお金がないとの返事。
だから金をくれと。
『そのお金で治療するの?』と聞くと
治療しても無駄だから治療費よりも生活費にすると。
それを聞いた彼は
薬を買って数日分を母親に手渡した。
まとめて渡せば転売したりするだろうとふんで
3日分程度を『必ず飲ますように』と言って渡した。
数日分の薬を飲み切った頃
その家族のいる場所へ。
子供に薬を飲ませている事を確認して
また数日分の薬を手渡す。
『ジャパニ。そんな薬はいらないから金をくれ。』
母親は何度もそう言う。
だけど薬だけをまた数日後持っていった。
その度に毎回同じやり取りの繰り返し。
『薬飲ませた?』
『ジャパニ、金』
その次も、その次も、その次も。
ある日、ついに母親の堪忍袋の緒が切れた。
『金をくれって言っているのに!!必要なのは今日の金だ!!あんたがやっている事は迷惑だ!!もう来るな!!』
それでも彼は薬を渡し続けた。
お金を渡す事は1度もなしに。。。
そうするうちに子供の病気がよくなりだした。
引き続き、薬とビタミン剤を渡した。
その家族と知り合ってあっという間に1年が経った。
その頃には子供の病気はほぼ治っていた。
彼は1年間、自分の納得がいくまで
何かの決着がつくまで
貯めて持ってきた金を使いくずしながら
マザーテレサのボランティアだけをしてすごしてきた。
マラリアにかかって死にかけ
体重は40数キロでガリガリになって骨が浮いていた。
そんな彼についに日本に帰る時が来た。
彼が真っ先にお別れを言おうと決めていたのはその家族だった。
いつも金金言いながら悪態をついてきていた母親の所へ。
『日本に帰るからもう来ないよ』
言葉足らずな彼にとってこれ以上、付け加える言葉はなかった。
そうか、帰れ!帰れ!とでも言われるのかなと思っていた。
ちらっと母親の顔をみると
目には涙があふれていた。
『ありがとう、ジャパニ。ありがとう。ありがとう、ジャパニ、ありがとう・・』
ずっと同じフレーズを言いながら大泣きしている。
じゃあ行くから、と言って背を向けても
母親はわあわあと声をあげて泣いていたそうだ。
彼は日本に帰国した。
そんなガリガリだった彼も
今は大変ふくよかな体型に。
体型は変わったけど
今もまったくキャラは変わっていない。
今はヨルダンに住んで
活動をしている。
わたしの旦那さんのむかし話でした(^^)